100年前に英国の司祭が示した「七つの社会的大罪」とは?

歴史関連
この記事は約4分で読めます。

映画「Seven」にも出てきた「七つの大罪」とは?

まず始めに、キリスト教(カトリック)における「七つの大罪」は皆さんどこかで聞いたことがあるかと思います。

そう、ブラッド・ピットが主演をして大ヒットした映画「Seven」にも出てきましたね。

ここで出てくる「七つの大罪」は「七つの罪源」とも呼ばれ、その項目は以下とされています。

Seven Deadly Sins(七つの罪源);

  1. Pride(傲慢)
  2. Greed(強欲)
  3. Envy(嫉妬)
  4. Wrath(憤怒)
  5. Lust(色欲)
  6. Gluttony(暴食)
  7. Sloth(怠惰)
引用元:七つの大罪 – Wikipedia

この「七つの大罪(罪源)」は聖書にあるのではなく、4世紀エジプトの修道士Euagrios Pontikosの著書の中にある「人間一般想念」が起源だと言われていて、もともとは八項目あったようですが、その後長い歴史の中で修正・改変が加えられ、「七つの大罪(罪源)」となったとの事です。

100年前に示された「七つの社会的大罪」とは?

一方、これとは別に、今から約100年前、1925年に英国アングリカン・チャーチ(イングランド国教会に属する教派)の司祭であったFrederick Lewis Donaldson(1860-1953)は、以下に挙げる「七つの社会的大罪」を示しました。

これがほんとすごいんです。自分はびっくりしました。ほんとに100年前に書かれたものなんでしょうか。
これって今の世の中そのものじゃないですか

Frederick Lewis Donaldson(1860-1953)

画像引用元:The Anglican Origin of the Seven Social Sins (livingchurch.org)

Seven Social Sins(七つの社会的大罪);

  1. Wealth without work
    〔wealth(富、財産)/without(~なしで、伴わずに)/work(労働、仕事)〕
  2. Pleasure without conscience
    〔pleasure(快楽、喜び)/conscience(良心、道徳心)〕
  3. Knowledge without character
    〔knowledge(知識、学識)/character(人格、品格)〕
  4. Commerce without morality
    〔commerce(商業、通商)/morality(道徳性、倫理性)〕
  5. Science without humanity
    〔science(科学、学問)/humanity(人間性、人道)〕
  6. Religion without sacrifice
    〔religion(宗教、信仰心)/sacrifice(犠牲、身を捧げること)〕
  7. Politics without principle
    〔politics(政治)/principle(基本理念、原則)〕

    英単語和訳出典: goo辞書 英和辞典・和英辞典
引用元:The Anglican Origin of the Seven Social Sins (livingchurch.org)

この「七つの社会的大罪」はその後インド独立の父マハトマ・ガンディーにも伝わり、感銘を受けたガンディーは約半年後に彼が出版していた週刊誌でこれを取り上げます。

「七つの社会的大罪」が発表された1925年、第一次世界大戦が終わり約7年が経過した頃、世界経済の主役は英国から米国へと完全に移り、米国は住宅と耐久消費財需要によって空前の好景気の中にいました。特に米国は自動車産業が成長期に入り、世界市場の独占を確立していく状況。
ちなみに、既にあるフォード、GMに続き、クライスラー(現STELLANTIS)がこの年誕生し、米国自動車メーカーのビッグ3が揃うことになります。
しかしその活況は、1929年米国株価大暴落に始まる世界恐慌前夜の活況でした

100年前に書かれたものが今の世の中を表しているなんて、「歴史は繰り返す」とよく言いますが、人間がやっていることって良くも悪しくもずっと変わらないのですね。

だからこそたとえそれが古い過去のものであったとしても、本当に優れた言葉や作品は、遥か遠く時代を超えて、現在にもそして遠い未来においても、深く心に響くものを我々に感じさせてくれるのでしょう

タイトルとURLをコピーしました