ここのところ、日本のアニメや音楽など、日本のコンテンツが世界中で評価されているのはみなさんご存じのことと思います。
近年においては、これらエンターテイメントの分野に限らず、一般の商品やそれらを製造・販売する企業のブランディングやマーケティングの分野においても、これらコンテンツの重要性がたいへん高まっており、SNSにおける文章や画像・動画だけでなく、ロゴやキャラクター、新しい商品におけるストーリー構築など、広義のコンテンツの活用に注目が集まっています。
先日の2025年7月2日(水)~4日(金)、東京ビッグサイトにてコンテンツビジネスに関する大規模な国際総合展「第17回 コンテンツ東京」が開催されました。コンテンツビジネスの現在の状況を広く知る目的でこの度ここに参加をさせていただきました。
「コンテンツ東京」と「XR・メタバース総合展」が同時開催

この展示会は、以下の6つの展示会+1つのエリアで構成されており、コンテンツビジネスの関係者にとっては、新しい機会が得られる場所として期待されるものとなっています。
・第17回 ライセンシング ジャパン
・第13回 コミュニケーションデザイン EXPO
・第16回 クリエイター EXPO
・第15回 映像・CG制作展
・第13回 広告クリエイティブ・マーケティング EXPO
・第1回 イマーシブテクノロジー EXPO
・コンテンツ HUB
さらに、今回はこの展示会に加えて、「第5回 XR・メタバース総合展」が同時開催となっており、バーチャル映像の最新技術が伺える展示会となっていました。

ちなみに「XR」とは一般に、「Cross Reality(クロス・リアリティ)」または「Extended Reality(エクステンデッド・リアリティ)」を略したもので、現実の空間と仮想現実を融合させ、新たなリアリティ空間を生み出す最新技術のことを指すとされています。
この「XR」には通常以下の3つの技術が含まれ、これまで映画やゲームなどとくにエンターテイメント業界で広く利用されてきたものですが、近年は、企画段階における建築物の完成イメージの把握、新店舗開設前の備品レイアウトやインテリア配置などの確認、メイクや衣服などの試着シミュレーションなど、一般産業界でも活用される事例がかなり増えてきています。
・VR:Virtual Reality(仮想現実)
・AR:Augmented Reality(拡張現実)
・MR:Mixed Reality(複合現実)
展示ブースのご紹介
以下では、完全な個人的興味で訪問させていただいたいくつかのブース並びに聴講したセミナーをご紹介したいと思います。
◆株式会社KADOKAWA

こちらはかつては出版界の大御所、現在はアニメやゲーム、教育事業まで手掛ける総合エンターテイメント企業として発展を続けている「KADOKAWA」のブースです。自分にとっては、「KADOKAWA」といえば文庫のイメージが強いのですが、コミックや絵本、雑誌など、ありとあらゆる分野の書籍を出版しているため、さまざまなキャラクターやイラストなどのIP(知的財産権)を保有しています。今回の展示会では、それらのIPを利用したライセンス事業によるグッズ商品などの紹介がありました。
それにしても「KADOKAWA」といえば、我々の世代にとっては未だに、かつての角川映画が脳裏に焼き付いて離れません。文庫本を売るために始めたという角川映画。「人間の証明」「汚れた英雄」などの名作は、主題歌も大ヒットし当時一世を風靡するものとなりました。
◆株式会社ティ・エイ・シー企画

こちらはセールスプロモーション、デジタルコミュニケーション等の企画・制作を事業としている株式会社ティ・エイ・シー企画の展示です。こちらのブースでは、さまざまなコンテンツが存在する中で、文章などの「テキスト」と「動画」ではそれぞれどんな特徴があるのかお話を伺いました。
最近は手軽に視聴できる動画の需要が日に日に増えているのはみなさんお感じの通りですが、その一方で動画は「見るのに時間がかかる」「途中で離脱するケースがよくある」などの課題が生じる場合もあるため、「短時間で必要な情報のみを取り出しやすい」テキストもまだまだ利点があり、対象とするターゲット(売り先)や目的に合わせて両方をうまく活用することが大事だとのことでした。これまでの数々の実績で蓄積されたさまざまなノウハウに基づき幅広いソリューションを提供している会社です。
◆FLAG株式会社

こちらは、採用広報やコーポレートサイト、販促ツール提供などを事業としているFLAG株式会社。とくに映像制作に強みを持ち、企画から撮影、編集までワンストップで制作を依頼できる会社です。これらの事業以外にも映画学校「ニューシネマワークショップ」の運営もしているこの会社、将来活躍できる映像クリエイターの育成にも積極的に取り組んでいます。豊富な実績と幅広い取り組みの結果は、高いリピート率が示す通り顧客からの高い評価へと繋がっています。
◆秋田犬たれみみだいちゃん

会場では所々このような着ぐるみのキャラクターに出会いました。秋田犬をモチーフとしたキャラクターはやはり親しみを感じますね。こちらは秋田ケーブルテレビさん主催のブースです。
◆こみやさおり(イラストレーター)

こちらはドイツ在住のイラストレーター、こみやさおりさんのブースです。個人的には、絵のタッチにヨーロッパ的なエッセンスを感じましたが、併せてどこか日本的なやさしさと繊細さを感じるところもあり、日欧の要素がうまく融合しているイラストだなという印象を受けました。これからも世界に向けてすばらしい作品を作り続けていただきたいと思います。

このクリエイターEXPOのエリアには、もの凄い数のクリエイターさんのブースが並び、たくさんの見学者でたいへん盛況となっていました。
◆MIMIworldwild Co., Ltd.

こちらは海外、タイから参加したクリエイターさんのブース。かわいいキャラクターですが、目元はしっかりと、力強い目力(めぢから)を感じるところがとても印象的でした。
◆株式会社バンダイナムコフィルムワークス

コンテンツ事業を行っている会社でまず始めに頭に浮かぶのは、この「BANDAI NAMCO」ではないでしょうか。バンダイといえば「ガンダム」や「ポケモン(ポケットモンスター)」が、ナムコといえば「パックマン」「ギャラクシアン」などのゲームが大変有名だと思いますが、この両者が一体となったBANDAI NAMCOには強力なキャラクターがたくさん存在します。世界で情報を収集し、始めから世界展開を考えたマーケティング戦略で現在も発展を続けている「バンダイナムコグループ」は、2024年度決算において1.2兆円を超える売上となり、過去最高の業績を達成しています。
◆株式会社フォーラムエイト

こちらは「XR・メタバース総合展」内のブース。ソフトウェア開発を基盤としたバーチャルリアリティの提供を20年以上も行っている株式会社フォーラムエイトの展示です。写真にある通り、ハプティックグローブ(触覚や温度を伝えることができるウェアラブルデバイス)も導入可能なデジタルツインソリューションの紹介がありました。
デジタルツインとは、リアル空間の情報を取得し、まるで双子のようなデジタル空間を再現する技術のこと。例えば、工場で高額な設備を導入する前にデジタル空間内にそれを再現して、試験的な運用をすることで不具合や不足しているものなどをチェックすることが出来ます。さらには、実際の設備導入後もそのままリアル空間の情報を収集し続け、工場内の稼働状態をモニタリングすることで、安定的・継続的な生産を維持することにも利用できるというものです。
◆株式会社アイディーエイ(セミナー聴講)
本展示会に参加した日に行われたセミナーの中で、以下のセミナーを聴講させていただきましたので最後にこちらをご紹介します。
【講演題目】”売れる”商品ブランディング「瞬間的な効果ではなく、持続的な成長」を実現するブランド戦略
【講演者】株式会社アイディーエイ 松田 瞬 氏
今や国民的お菓子ともいえる「ブラックサンダー(有楽製菓)」。2019年に発売後25周年を迎え、これをきっかけに「再ブランディングプロジェクト」を担当した株式会社アイディーエイ。その取り組みについての貴重なお話を伺いました。

元々「Brand」という言葉の語源となったのは、牛に「焼き印を付ける」という意味の古ノルド語「Brandr」なのだそうです。他人が管理する牛と自分の牛を簡単に識別することが目的でした。
つまりブランディング(Branding)とは、その本質において他者とは異なる「らしさ」を磨き、それを追求して見つけやすくすること。そして提供する商品やサービスが選ばれ続けるためには、「機能的価値」と「情緒的価値」の両方を、差別化された独自の魅力として提供することがとても大切であるとの解説がなされました。
実際の事例をもとに、どのような点に留意してプロジェクトを進めていったか、またそれを進めるにあたりどのようなツールを利用したかなど、専門家でなくてもとても分かりやすいプレゼンテーションだったため、ブランディングというものについてより理解が深まりました。
以上、簡単ではありますが「第17回 コンテンツ東京」並びに「第5回 XR・メタバース総合展」の会場の様子をご紹介させていただきました。
コンテンツの重要性が日に日に高まっている今日。今後さらに注目を集め、発展をし続けるコンテンツ業界は今後どのように進化していくのでしょうか。将来の姿がとても楽しみです。