大きく変化した日本の収益モデル

経済関連
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戦後日本は輸出大国として成功し大きな経済成長を成し遂げた訳ですが、昨今は輸入する燃料費の高騰や円安の影響等から貿易赤字になることがしばしば報道されています。

それではまず始めに、実際に日本の輸出入額の推移をグラフで見てみましょう。

日本の輸出入額の推移

日本の輸出入額及び差引額の推移

引用元:財務省財務統計HP_輸出入額及び差引額の推移(1950~2022年)グラフy0.pdf (customs.go.jp) に筆者がテキストを追記

1970年代中頃から輸出入額はともに伸びて行きますが、暫くは輸出額と輸入額は概ね均衡した状態が続きました。輸出額が輸入額を上回り、貿易黒字が大きくなり始めたのは1980年代の中頃からなんですね。

1985年から2007年までの23年間は、輸出額が上昇を続け、途中バブル経済の崩壊がある中でも、平均でおよそ10兆円程度の貿易黒字が継続しました。その後はリーマンショック等の世界的経済危機もあり輸出の大幅な落ち込みもあって、貿易赤字が出る年が散見されます。

上記輸出入額というのは、基本的に「物品」の輸出入額のことですから、「物品」以外の収支(旅行、金融サービス手数料、知的財産収入 etc.)に関するものは上図に含まれていません。

ですので、次は日本の収支全体がどのようになっているのかを見てみましょう。
日本の収支全体を見るためには、「経常収支」という指標を見るのが一般的かと思われます。

「経常収支」というのは、以下のように算出されます。

経常収支=貿易収支+サービス収支+第一次所得収支+第二次所得収支

貿易収支:財貨(物)の輸出入の収支
サービス収支:サービス取引(輸送、旅行、証券売買等の手数料、知的財産権等使用料 etc.)の収支
第一次所得収支:対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等(親会社と子会社との間の配当 金・利子等の受取・支払、証券投資収益 etc.)の収支
第二次所得収支:対価を伴わない資産提供(官民の無償資金協力、寄付、贈与 etc.)に係る収支

出典:財務省HP 用語の解説 : 財務省 (mof.go.jp)

日本の経常収支の推移

日本の経常収支については1996年から2022年までのデータをグラフ化してみました。

【日本の経常収支とそれを構成する要素の推移】

引用元:財務省HP_6s-1-1  国際収支総括表【暦年・半期】のデータを元に筆者がグラフを作成

最初のグラフの輸出入差引額が貿易収支に相当します。
2011年以降、貿易収支はマイナスになる年が増え、その後は安定的なプラス収支にはなっていません。

しかしながら、2005年頃からは第一次所得収支貿易収支を上回り、その後も第一次所得収支増加傾向にあって、日本の経常収支は上記グラフでも2022年まで黒字(下記出典データでは2023年の日本の経常収支は20.6兆円の黒字)がずっと継続しています。

つまり、日本の収益モデル「貿易立国」から「投資立国」へと既に大きく変化をしつつ、日本全体の収支は今も尚黒字を継続しているのです。

第一次所得収支が増加している要因としては、証券投資収支のプラスに加え、海外子会社設立やM&Aによる日本企業の海外進出が進んで直接投資収支が大きく増加していることが挙げられるようです。

今後他の国の収支状況に関しても記事にしたいと思っています。

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